1883年
43歳頃

異形のポリプ

画家 オディロン・ルドン →
The Misshapen Polyp Floated on the Shores, a Sort of Smiling and Hideous Cyclops / シカゴ美術館
丸い体に毛のような線が生えた奇妙なものが、こちらへ一つの眼を向ける。

何が描かれているか

丸い体に毛のような線が生えた奇妙なものが、こちらへ一つの眼を向ける。題名は海辺に漂う「異形のポリプ」を、笑うようで恐ろしい一つ目の存在と呼ぶ。ポリプは水中の小さな生物を指す言葉だが、絵の姿は図鑑の再現ではない。人の表情と動物の体を重ね、見る側が生き物の種類を決められないまま向き合うようにしている。

作品の見どころ

図像は紙面の中心に比較的小さく置かれ、その周りに広い余白が残る。顔のような部分へ近づくと、細い線が密集し、暗い輪郭りんかくから目と口が浮かぶ。余白があるため、不思議な姿がいっそう孤立して見える。版画はんがの黒い線を一本ずつ追うと、ふわふわした毛並みと硬い眼の形が同時に現れる。巨大な怪物として描くのではなく、小さな図像から想像を広げた作品だ。

制作背景

シカゴ美術館の記録では1883年のリトグラフで、版画集『起源』の八図中第三図にあたる。題名の長さも作品の一部で、見える姿と説明のずれを楽しめる。一つ目の巨人を意味する「キュクロプス」という語があるが、後年の油彩ゆさい《キュクロプス》とは別の作品である。両者を見比べると、ルドンが同じ語を異なる形と大きさで扱ったことが分かる。

作品情報

材質・技法
紙にリトグラフ
所蔵
シカゴ美術館

出典・画像について

出典:シカゴ美術館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Odilon Redon《異形のポリプ》/Art Institute of Chicago / CC0
画像の出典 / CC0 / Open Access(画像情報:2026-09-27 確認)
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