横顔の静けさと、周りの花の色を見比べよう。人物と空想の世界が同じ紙の上で響き合う。
何が描かれているか
右側の女性が、体を横へ向けて左を見ている。淡い青緑の服と白い襟を身につけ、長い髪を背中へ流している。左側から頭の上へかけて、青や紫、橙の花が大きく広がる。
描かれているのはヴィオレット・エイマン。所蔵館の説明によれば、パリの収集家マルセル・カプフェレールの姪だ。実在の人物を描きながら、周囲の花は夢の中のような空間をつくっている。
作品の見どころ
女性の顔の細かな輪郭と、花の自由な色の広がりを見比べてみよう。顔は静かにまとまり、花には強い色やぼかした形が混ざる。その違いによって、横顔が自然に目に留まる。
灰色の紙にパステルで描かれ、背景には紙の色が残っている。余白を埋め尽くさず、花と人物の間に間隔を置くことで、二つの存在が近くにありながら、息苦しくならない。
制作背景
1910年の作品。ルドンは女性と花を組み合わせる注文肖像を手がけており、本作もその一例だ。初期の木炭画や石版画とは違う、パステルの鮮やかな色彩を味わえる。
現在はクリーヴランド美術館に所蔵される。顔の似方だけでなく、花の色が人物の周囲にどんな雰囲気をつくるかも考えてみたい。ただし、本人の気持ちや花に込めた意味を一つに決める必要はない。
出典・画像について
画像:Odilon Redon《ヴィオレット・エイマン》/ヴィオレット・エイマン — Odilon Redon / Cleveland Museum of Art
Cleveland Museum of Artの公式CC0画像。
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