劇場の桟敷席に座る女性と、オペラグラスをのぞく男性を近くから描いた。桟敷席とは、劇場の側面などに設けられた仕切り付きの観客席である。舞台を見る場所であると同時に、観客自身も見られる場所だったことを感じさせる。
何が描かれているか
女性は白と黒の衣装で手前に座り、胸元に花を付けて正面を向く。後ろの男性は上体を前へ出し、オペラグラスを上に向ける。
画面手前には欄干があり、二人の座席と鑑賞者側を分けている。
作品の見どころ
女性はこちらに姿を見せ、男性は画面の外を観察している。二人の視線が合わないため、「見る人」と「見られる人」の関係が一枚の中で入れ替わる。
白い肌やレースと、黒い衣装の差も人物を強く浮かび上がらせる。まず手前の女性の白黒の衣装と花を見て、次に奥の男性の双眼鏡へ目を移す。二人の視線が同じ方向を向かないため、観客が見る側であると同時に見られる側でもある構図が生まれる。衣装の細部、肌、暗い客席を順に比べ、華やかな表面と奥の曖昧な空間がどう釣り合うかを確かめたい。画面の手前と奥で、肌や布の描き込みがどう変わるかも比べてみたい。
制作背景
作品は1874年の第1回印象派展に出品された。女性にはニニ・ロペス、男性にはルノワールの弟エドモンがモデルを務めた。
カンヴァスに油彩で、コートールド美術館所蔵。
出典・画像について
画像はYelkrokoyadeによるWikimedia CommonsのCC BY-SA 4.0画像を縮小・再圧縮したものです。
画像:Pierre-Auguste Renoir《桟敷席》/Pierre-Auguste Renoir, La Loge, 1874; photograph by Yelkrokoyade, via Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0.
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