1870–1873年
29歳頃

ヴォルガの船曳き

画家 イリヤ・レーピン →
Бурлаки на Волге / ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
広い川を背に、十一人の労働者が肩の綱で船を引いている。

何が描かれているか

広い川を背に、十一人の労働者が肩の綱で船を引いている。船曳きとは、人が岸を歩きながら船を動かす仕事である。全員が同じ方向へ進む一方、疲れた顔、前を向く顔、うつむく顔はそれぞれ違う。群衆を一つの記号にせず、個々の人間として描いたところに、この作品の強さがある。

作品の見どころ

中央付近の若い人物は綱に手をかけ、前の人々とは少し違う姿勢を取る。背後の帆船、川の水平線、明るい砂地を見比べると、重い労働と広い風景の落差が分かる。人物たちは低い位置に横長に並び、見る人も同じ岸辺に立っているように感じる。画面にきれいな川景色だけを期待すると、この列が強く迫ってくる。

制作背景

ロシア美術館の目録は制作年を1870–1873年とし、作品番号をЖ-4056と記す。レーピンは実際にヴォルガを訪れて船曳きたちと接し、習作しゅうさくを重ねた。同館によれば、完成作は1873年のウィーン万国博覧会でも評価された。後の大群衆の作品へ続く、社会と個人を同じ画面で見る出発点である。 最初に船曳きを見たのはネヴァ川で、その衝撃から二度ヴォルガへ取材に向かった。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩ゆさい
所蔵
ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
目録
Ж-4056

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ilya Repin《ヴォルガの船曳き》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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