1884年
40歳頃

トンボ

画家 イリヤ・レーピン →
Стрекоза / トレチャコフ美術館(モスクワ)
青空を背に、少女が木の柵へ腰掛け、両足を宙へ下げる。

何が描かれているか

青空を背に、少女が木の柵へ腰掛け、両足を宙へ下げる。モデルはレーピンの長女ヴェーラで、描かれたときは十二歳だった。題名の「トンボ」は虫を描いたという意味ではなく、軽やかな姿を表す。目線を少し下から上へ向けると、少女が空へ浮き上がりそうに見える理由が分かる。足はまだ地面に届かず、宙に揺れている。

作品の見どころ

帽子の影は顔に落ちるが、衣と足には強い日光が当たる。足元の草、柵の木目、白い雲の少ない空が、屋外の明るさを伝える。少女はきちんと座る肖像の姿勢を取らず、体の重さを細い柵に預けている。その不安定さが、次の瞬間に動き出しそうな印象を作る。 背後には空が広く、地面は画面下にわずかしかない。この面積の違いも、柵に座る小さな体を高く感じさせる。

制作背景

トレチャコフ美術館は1884年の油彩ゆさい画と記録する。同館は、画家がヴェーラの姿と動きに合わせて題名を選んだこと、制作中に画面の下部を付け足して構図こうずを考え直したことを伝える。単純な一瞬を描いたように見えても、完成までには選択があった。数年後の《秋の花束たば》では同じ娘が成長した姿で現れる。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩
所蔵
トレチャコフ美術館(モスクワ)
目録
Инв.741

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ilya Repin《トンボ》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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