1881年
37歳頃

ムソルグスキーの肖像

画家 イリヤ・レーピン →
Портрет композитора М. П. Мусоргского / トレチャコフ美術館(モスクワ)
作曲家ムソルグスキーが、灰色の衣に赤い折り返しを見せて座る。

何が描かれているか

作曲家ムソルグスキーが、灰色の衣に赤い折り返しを見せて座る。髪は整えられず、顔には疲れも見えるが、こちらを向く目は強い。衣の赤と肌の色を追うと、病人としてだけでは捉えられない一人の人物が現れる。背景に楽器や楽譜を置かず、顔と上半身だけで作曲家を伝えている。その静けさも印象的だ。

作品の見どころ

白っぽい壁は細かな青や灰色の筆触で揺れ、人物の輪郭りんかくを硬く閉じない。赤い襟には濃淡が重なり、軽い筆運びが残る。顔の左右やひげにも多くの色があり、急いで描いた写真のようには見えない。視線の位置に立つと、鑑賞者は作曲家の前で実際に会っているような近さを感じる。

制作背景

トレチャコフ美術館によれば、レーピンは病院へ通い、1881年3月2日から5日の四回の制作で肖像を描いた。ムソルグスキーはその月に亡くなった。作品は同年に美術館の創設者トレチャコフが購入した。死を目前にした肖像として知られるが、病の徴候を隠さず、なお人物の生きた表情を描いた点に注目したい。 美術館によれば、レーピンはこの肖像の代金をムソルグスキーの記念碑のために寄付した。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩ゆさい
所蔵
トレチャコフ美術館(モスクワ)
目録
Инв.730

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ilya Repin《ムソルグスキーの肖像》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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