長い髭と大きな体を持つ聖職者が、杖を握ってこちらを見つめる。
何が描かれているか
長い髭と大きな体を持つ聖職者が、杖を握ってこちらを見つめる。題名の「首席輔祭」は正教会の聖職者の呼び名である。ただしモデルのイワン・ウラノフは、レーピンの故郷チュフイウの聖堂で輔祭を務めた人物だった。画家は題名で位を上げ、特定の人を描きながら、さらに大きな人物像を作った。
作品の見どころ
暗い衣と濃い背景の中で、白い髭、赤みを帯びた顔、杖を持つ手が浮かび上がる。体は画面いっぱいに置かれ、立つ姿が近くに迫るようだ。目を顔から手へ移すと、落ち着いた肖像というより、今にも話し始める人物の気配がある。衣の黒も一色ではなく、太い筆の跡で重さが変わる。
制作背景
トレチャコフ美術館は1877年の油彩画として所蔵する。レーピンはパリから帰った後、故郷でモデルを見つけた。同館の解説は本人の実名と職務を明記し、作品が実際の容貌に似ていたことを伝える。後のムソルグスキーやトルストイの肖像と比べると、職業や名声だけでは捉えられない身体の存在感が見えてくる。 画家はこの肖像を宗教行列の絵の習作とも考え、その構想は後の《クルスク県の宗教行列》へ続いた。
出典・画像について
画像:Ilya Repin《首席輔祭》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
レーピンとロシア近代絵画の煌めき
籾山昌夫 著 / 東京美術
レーピンと同時代のロシア近代絵画を、作品図版とともに紹介する画集。
楽天ブックスで見る →