1877年
33歳頃

首席輔祭

画家 イリヤ・レーピン →
Протодиакон / トレチャコフ美術館(モスクワ)
長い髭ひげと大きな体を持つ聖職者が、杖を握ってこちらを見つめる。

何が描かれているか

長い髭と大きな体を持つ聖職者が、杖を握ってこちらを見つめる。題名の「首席輔祭」は正教会の聖職者の呼び名である。ただしモデルのイワン・ウラノフは、レーピンの故郷チュフイウの聖堂で輔祭を務めた人物だった。画家は題名で位を上げ、特定の人を描きながら、さらに大きな人物像を作った。

作品の見どころ

暗い衣と濃い背景の中で、白い髭、赤みを帯びた顔、杖を持つ手が浮かび上がる。体は画面いっぱいに置かれ、立つ姿が近くに迫るようだ。目を顔から手へ移すと、落ち着いた肖像というより、今にも話し始める人物の気配がある。衣の黒も一色ではなく、太い筆の跡で重さが変わる。

制作背景

トレチャコフ美術館は1877年の油彩ゆさい画として所蔵する。レーピンはパリから帰った後、故郷でモデルを見つけた。同館の解説は本人の実名と職務を明記し、作品が実際の容貌に似ていたことを伝える。後のムソルグスキーやトルストイの肖像と比べると、職業や名声だけでは捉えられない身体の存在感が見えてくる。 画家はこの肖像を宗教行列の絵の習作しゅうさくとも考え、その構想は後の《クルスク県の宗教行列》へ続いた。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩
所蔵
トレチャコフ美術館(モスクワ)
目録
Инв.712

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ilya Repin《首席輔祭》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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