1903年
59歳頃

なんと広い空間だ!

画家 イリヤ・レーピン →
Какой простор! / ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
荒い海の波の中で、若い男女が風と水しぶきに向かって立つ。

何が描かれているか

荒い海の波の中で、若い男女が風と水しぶきに向かって立つ。男性は帽子を押さえるように腕を上げ、女性は長い衣を波にさらしている。二人は困った顔で逃げるのではなく、広がる海に身を任せているようだ。まず人物を探し、次に画面の大部分を占める波へ視線を戻したい。波の冷たさまで想像できる。

作品の見どころ

斜めに持ち上がる波と白い泡が、足元から遠方へ続く。水平線は高く、空は狭いため、水の勢いが強く感じられる。服の黒と泡の白を見比べると、人物は小さくても画面から消えない。題名の「広さ」は静かな眺めだけではなく、自然の中へ踏み出す体の感覚にも結びつく。

制作背景

ロシア美術館は1903年の油彩ゆさい画として記録する。同館によれば、レーピンはフィンランド湾岸のクオッカラで見た景色を制作のきっかけと語った。一方、当時の鑑賞者は若い二人を社会の未来になぞらえるなど、寓意としても読んだという。画家の出発点と鑑賞者の解釈を分けながら、具体的な波と人物の姿を見たい。 美術館によれば、波は春先の氷を砕いており、画家はそれを眺める若者たちの歓喜を表そうとした。

作品情報

材質・技法
キャンバスに油彩
所蔵
ロシア美術館(サンクトペテルブルク)
目録
Ж-2774

出典・画像について

出典:所蔵館 作品資料(2026-09-27 確認)
画像:Ilya Repin《なんと広い空間だ!》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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