文豪トルストイの肖像
画家 イリヤ・レーピン →Портрет писателя Л. Н. Толстого / トレチャコフ美術館(モスクワ)
作家トルストイが黒い衣で椅子に座り、開いた本を手にしている。
何が描かれているか
作家トルストイが黒い衣で椅子に座り、開いた本を手にしている。背景に書斎の道具を並べず、顔、手、本だけが目を引く。細い椅子の線と大きくまとまった黒い服を見比べると、人物が画面を静かに占める。華やかな作家像よりも、目の前で読む一人の人を描いた肖像に近い。目元も落ち着いている。
作品の見どころ
黒い衣には明るさの違う筆触が重なり、単調な面にはならない。顔の周囲の淡い背景はひげと肩の輪郭を浮かび上がらせる。手の形や本の白さまで視線を移すと、考えながら読む時間が絵の中にあるように感じる。大きなしぐさはないが、視線を合わせた鑑賞者との距離は近い。
制作背景
トレチャコフ美術館によれば、レーピンは1887年の夏にヤースナヤ・ポリャーナで肖像を描いた。二人は1880年から知り合いで、画家はその後も作家を繰り返し描いている。本作は同年にトレチャコフが購入した。後の農作業中や森で休むトルストイの姿と比べると、同じ人物の別の側面を見せる肖像である。 画家は作家の思想すべてに従ったわけではないが、その人柄と知性には強く引かれていたと同館は伝える。
出典・画像について
画像:Ilya Repin《文豪トルストイの肖像》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
Commonsはパブリックドメインと表示。二次元複製の扱いには法域による留保がある。
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