何が描かれているか
第2代アルベマール伯爵夫人アンが黒い喪服で椅子に座る。白い帽子と袖口が顔と手を囲み、両手では糸結びに使うシャトルを扱う。膝には淡い花柄の布が広がる。
背後の赤褐色のカーテンと黒い衣が大きな暗部をつくる。宝飾や紋章を目立たせず、年齢を重ねた顔、細い指、日常的な手仕事へ注意を集める。
作品の見どころ
黒、白、灰色の抑えた色へ、カーテンと膝の布の赤や青を少量加える。喪服は平らな黒ではなく、光を受ける襞と透けるレースによって異なる表面を示す。
身分ある女性を若く理想化せず、まっすぐな視線と手の作業で表す。糸結びは余暇の活動であり、静止した肖像の中に時間を持ち込む。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1760年頃の作品とする。夫は1754年に亡くなっており、夫人は喪服姿で描かれた。制作記録には11回の座りが記されると所蔵館は説明する。
顔の色は現在かなり薄れて見える。レノルズが用いた絵具や媒材の一部は変化しやすく、今日の色を制作直後の状態と同一には扱えない。保存状態も作品の見え方の一部である。