何が描かれているか
海軍士官オーガスタス・ケッペルが岩場を大股で進む。右腕を伸ばし、左手は剣の近くに置く。背後では荒い波と厚い雲が広がり、海岸には壊れた船の一部が見える。
軍服は風を受け、人物の斜めの身体と岩の傾きが同じ方向へ動く。穏やかな室内の肖像ではなく、海難から陸へ上がった直後のような出来事の中へ全身像を置く。
作品の見どころ
前へ踏み出すポーズは古代彫刻のアポロンを思わせるが、足場は不安定な海岸である。古典的な理想の身体と、濡れた岩、荒海、軍服という現代の経験を一つにする。
低い視点から見上げるため、人物は大きく英雄的に見える。一方、伸ばした手や足の動きには緊張があり、完成した勝利の記念像より、危険を切り抜ける途中の姿として感じられる。
制作背景
ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジは1752〜1753年の作品とする。ケッペルはレノルズの友人で、1749年に画家を地中海航海へ同行させ、イタリア旅行の機会を助けた。
画面は1747年にケッペルがフランス沖で難破し、生還した出来事を暗示すると説明される。レノルズはこの大型肖像を展示し、帰国後の力量を示して新たな注文を得ようとした。