1756年
33歳

ロバート・オーム大尉

画家 ジョシュア・レノルズ
Captain Robert Orme / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
伝令へ走り出す直前の姿で、戦争帰りの士官を劇的に見せた。

何が描かれているか

赤い軍服のロバート・オーム大尉が馬の脇に立ち、左手に折りたたんだ手紙を持つ。身体は前へ向き、今にも馬へ乗って伝令に走り出すような緊張した姿勢である。
背後には煙、厚い雲、遠い戦闘が見える。馬の暗い身体と赤い上着が大きく重なり、開いた空を背にした顔へ光が当たる。手紙の文字は読めず、内容は確定しない。

作品の見どころ

人物を中央で静止させず、馬の首、腕、脚を斜めにつないで前への動きをつくる。顔の不安げな表情と戦場の煙が、単なる軍服の誇示ではない体験の重さを加える。
ポーズと馬の関係には、レノルズがイタリアで写したリゴッツィの壁画が参照されたと所蔵館は説明する。古い構図こうずを借りても、同時代の軍服と北米戦争の記憶へ置き換えている。

制作背景

ナショナル・ギャラリーは1756年、オームが31歳の時の肖像とする。彼はブラドック将軍の副官として北米へ赴き、1755年の戦闘で負傷して英国へ戻った。
作品は本人の注文ではなく、レノルズが自ら制作して工房へ展示したとされる。英雄的な全身肖像を見せ、より大きな注文を呼び込む見本でもあった。手紙をブラドック戦死の報告とする説は可能性にとどめる。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい、カンヴァス
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
位置づけ
実際の戦争経験を背景に置き、伝令へ動き出す直前の姿として軍人肖像を劇化した。

出典・画像について

画像:Sir Joshua Reynoldsロバート・オーム大尉》/ロバート・オーム大尉 — Sir Joshua Reynolds / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
Public Domain表示の画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

西洋絵画の歴史2 バロック・ロココの革新
高階 秀爾 監修/高橋 裕子 著 / 小学館
18世紀イギリス絵画を、ホガース、レノルズ、ゲインズバラの展開とともに豊富な図版で解説する入門書です。二人の肖像観の違いも時代の中で比べられます。
楽天ブックスで見る →