何が描かれているか
若いレノルズが暗い背景の前でこちらを見つめ、左手を額へかざす。強い光を遮りながら対象を確かめるような姿で、右手には画家の道具を持つ。
顔、手、白いシャツに光が当たり、茶色の上着と背景は影へ溶ける。帽子やかつらで身分を飾らず、見る目、動く手、制作中の身体を近い距離から示す。
作品の見どころ
額の前の手は顔を隠すと同時に、光の方向をはっきりさせる。明るい掌と眼の間に緊張が生まれ、鑑賞者は若い画家から見返される立場になる。
完成した名声の記念像ではなく、観察して描く行為を選んだ。暗い画面から顔を浮かべる方法にはレンブラントを思わせる面があるが、イタリア旅行前の作品なので直接の模倣とは断定しない。
制作背景
ナショナル・ポートレート・ギャラリーは1747〜1749年頃、レノルズが20代半ばに描いた自画像とする。後に画面の四辺が切られ、当初より小さくなった。
レノルズは1749年にイタリアへ出発し、帰国後にロンドンの主要な肖像画家となった。本作はその前の段階で、自分を社会的成功者より、光と対象を調べる職業画家として示している。