1783〜1784年
60〜61歳頃

悲劇の女神としてのシドンズ夫人

画家 ジョシュア・レノルズ
Sarah Siddons as the Tragic Muse / ハンティントン美術館
女優を悲劇の女神として描く。背後の二人は恐れと憐れみを表す。

何が描かれているか

シドンズは高い椅子に座り、片手を顔の近くへ上げる。背後には二人の暗い人物が浮かび、下方の衣が大きく広がる。
主役へ明るい光が当たり、周囲は深い影に沈む。役を演じる一瞬ではなく、悲劇を象徴する静かな姿として配置されている。

作品の見どころ

顔と腕の明るさを、黒に近い背景と比べたい。大きな身体の形と椅子の直線が、ひとりの女優を記念碑のように見せる。
背後の二人は単なる付き人ではない。所蔵館の説明では「恐れ」と「憐れみ」を表し、観客が悲劇に抱く感情を主役の周りへ置く。

制作背景

ハンティントン美術館は制作年を1783〜1784年とし、衣の裾に1784年の署名があると記録する。女優シドンズは当時、悲劇の舞台で広く知られていた。
同じ画家の別の肖像や、ゲインズバラによる《シドンズ夫人》と混同しない。ここに掲載した画像は背後の二人物も含む所蔵作の全景である。 影の中の二人を見つけると、主役の静けさと、その周囲に置かれた激しい感情の差がいっそうはっきりする。ゲインズバラの同じ女優の肖像は、舞台の寓意を使わない点でも対照的である。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ハンティントン美術館
位置づけ
女優を悲劇の女神に見立てたレノルズの代表的な肖像。

出典・画像について

画像:Joshua Reynolds悲劇の女神としてのシドンズ夫人》/悲劇の女神としてのシドンズ夫人 — Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-23 確認)
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