森の暗がりに浮かぶ幼い顔。実在の人物を記録する肖像とは少し違う、役柄を演じる子どもの絵です。
何が描かれているか
布を巻いた少女が、森の暗がりからこちらを見ています。淡い服、胸元の結び目、腹の前で重ねた手が、顔へ視線を集めます。腕のそばには籠も見えます。
題名は街のいちご売りを思わせますが、背景はロンドンの通りではありません。服装や場所を組み替え、幼い子どもに一つの役柄を与えた絵です。姪を描いたという伝承は、確かな人物同定と区別します。
作品の見どころ
少女の目と、暗く沈む木や岩の対比を見てください。周囲に物語を説明する人がいないため、少し不安そうにも、静かに見返しているようにも感じられます。表情の意味は一つに決まりません。
現在はクリーム色に見える服も、館の調査では赤や黄の顔料が退色し、もとの色合いから変わったとされています。今見える色を、そのまま制作時の色だと思わないことも見どころです。
制作背景
このような、子どもに想像上の役を演じさせる作品は「ファンシー・ピクチャー」と呼ばれます。レノルズの威厳ある大人の肖像とは違う、親しみや感情を誘う表現を示します。
同じ題材には別版があり、帽子から髪がのぞく本作はウォレス所蔵版です。制作年は館の研究解説の「1773年以後」に従い、旧目録の1772〜1773年という記載も注記しています。
制作年には資料差があります
同館の旧目録は1772〜1773年、研究解説は1773年以後と記載。ここでは研究解説を採用し、単一年や別版との制作順を確定しません。
作品情報
位置づけ
子どもに役柄を与える「ファンシー・ピクチャー」の代表的な一例。
出典・画像について
画像:Joshua Reynolds《いちご売りの少女》/いちご売りの少女 — Joshua Reynolds / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の複製画像。扱いは国・地域で異なります。
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