磔刑と悲しむ聖母・聖ヨハネ
画家 ロヒール・ファン・デル・ウェイデン →The Crucifixion, with the Virgin and Saint John the Evangelist Mourning / フィラデルフィア美術館
二枚の板に、悲しむ聖母と磔刑のキリストを対置する。
何が描かれているか
左の板では聖母マリアが気を失うように崩れ、聖ヨハネが身体を支える。右の板には十字架につけられたキリストが一人で立つ。背後に吊られた鮮やかな赤い布が二つの場面をつなぎ、余計な風景を省いた空間に悲しみを集めている。二枚を並べて見ると、生きる人の動きとキリストの動かない身体が対照的である。
作品の見どころ
赤い布の四角い面をまず見て、そこに沿って人物の姿をたどりたい。左で倒れる聖母の衣は斜めに流れ、ヨハネの腕がその重さを受ける。右ではキリストの身体と十字架がまっすぐ立つ。形の違いが、同じ出来事に対する悲しみと犠牲を分けて示す。細部を増やさず、大きな色面と手足の位置だけで二つの板を結び付けている。
制作背景
フィラデルフィア美術館は1460年頃のロヒール作品として記録する。一般的な三連画ではなく二枚組の祭壇画で、二つの場面を近い大きさで向き合わせた。所蔵館の説明は、聖母の苦しみとキリストの死を一続きに見る構成を強調する。画面の赤い布や石の床を実際の風景と取り違えず、祈りのために整理された浅い舞台として見ると読みやすい。
出典・画像について
画像:Rogier van der Weyden《磔刑と悲しむ聖母・聖ヨハネ》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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この画家について本で読む
ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン 情動と優美のフランドル画家
岡部 紘三 著 / 勁草書房
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