三つのアーチに、誕生から哀悼と復活後の再会までを並べる。
何が描かれているか
三枚の細長い板に、それぞれアーチで囲まれた場面がある。左で聖母は生まれた幼子を抱き、中央では死んだキリストを前に悲しみ、右では復活した息子と向かい合う。誕生、死、再会という時間の離れた出来事を、同じ形の枠の中へ並べた。見る人は左から右へ進みながら、母と子の関係の変化をたどれる。
作品の見どころ
三つのアーチの形をまず比べたい。中央の悲しみは左右と同じ枠に収まり、物語がばらばらにならない。小さな空間の中でも人物の衣の重なり、手の位置、背景の建築がそれぞれ違う。左の幼子を抱く手と、中央で身体を支える手を見比べると、同じ母子が別の時を生きていることが伝わる。同じ形の枠をたどることで、独立した場面が一つの物語になる。
制作背景
ベルリン絵画館は、カスティーリャ王フアン2世が1445年にミラフロレス修道院へこの作品を贈った記録を紹介する。失われた修道院文書の引用には画家を示す名もあり、現存作品とロヒールを結ぶ珍しい同時代資料となる。そのため制作は寄贈以前と考えられる。三枚の由来を支える文書がある点は、帰属を考える際にも重要である。
作品情報
記録
1445年にカスティーリャ王がミラフロレス修道院へ寄贈
出典・画像について
画像:Rogier van der Weyden《ミラフロレスの祭壇画》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
作品外の単色余白のみ透過。 忠実複製・所蔵館規程の扱いには国や地域による差があります。
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この画家について本で読む
ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン 情動と優美のフランドル画家
岡部 紘三 著 / 勁草書房
ロヒールの生涯、作品の帰属、工房との関係を詳しくたどる研究書です。専門的な内容まで読みたい方に向いています。
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