何が描かれているか
左では聖母マリアが幼子キリストを抱き、右では聖ルカが紙を手に姿を写し取る。二人は同じ室内に座るが、背後の柱の間から川、建物、人影まで見通せる。聖ルカは絵を描く人々の守護聖人とされる人物である。画家が聖なる親子を描くという物語を、仕事中の手元まで見える場面にした。
作品の見どころ
室内の暗い柱と、中央の明るい遠景を見比べると、二人の間に奥行きが生まれていることが分かる。ルカの視線は聖母子へ向かい、手は紙に向かう。その往復を追うと、鑑賞者も描く行為を見守る位置に立つ。聖母の青い衣とルカの赤い衣は離れているが、向き合う姿勢が画面をつないでいる。細かな川辺の人物にも目を向けたい。
制作背景
ボストン美術館は1435~1440年頃のロヒール作品として紹介している。ここにいる聖ルカを画家本人の確実な自画像とみなす資料はない。このサイトの画家一覧では聖ルカの顔を識別用に使うが、本人の肖像とは表示しない。聖母子、描き手、遠景を一枚に収めたこの構成は、宗教画と制作行為を同時に考えさせる。
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この画家について本で読む
ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン 情動と優美のフランドル画家
岡部 紘三 著 / 勁草書房
ロヒールの生涯、作品の帰属、工房との関係を詳しくたどる研究書です。専門的な内容まで読みたい方に向いています。
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