1890年5月
37歳

ばら

画家 フィンセント・ファン・ゴッホ
Roses / メトロポリタン美術館
いま白く見えるばらは、描かれた当時はピンクだった。赤い色の材料が年月のあいだに抜け、花もテーブルも淡い色へ変わっている。療養所りょうようじょを出る間近、ゴッホはアイリスとばらの静物を一続きの組として描いた。穏やかな花たばの背後には、かつての持ち主がアメリカへ亡命ぼうめいし、残された絵がナチスに押収おうしゅうされたという別の歴史もある。

何が描かれているか

緑の花瓶に、白いばらの大きな束。淡い緑がかった背景の前に置かれている。縦長の画面である。
この白も、もとの色ではない。テーブルの上と花びらに、ピンクの跡がわずかに残っている。ゴッホ自身は「緑がかった黄色の背景に、緑の花瓶に入ったピンクのばらの絵」と書いていた。

作品の見どころ

1890年5月、サン=レミの療養所を離れる間近に、ゴッホは4点組の花の静物画せいぶつがを描いた。この《ばら》と、同じ美術館にある横長の《アイリス》は、その2点にあたる。退所までの短い期間に、花の静物画へ集中的に取り組んでいた。
4点は別々に思いついたものではなく、ひとつづきの組として構想されたものである。縦長のアイリスがアムステルダムに、横長のばらがワシントンにある。4枚をそろえて見る機会は、めったにない。

制作背景

1890年5月、37歳。サン=レミの療養所を出る間近に描かれた。
この絵には、制作とは別の歴史がある。持ち主はゲオルク・ジーモン・ヒルシュラントという人物だった。1938年、彼はアメリカへ亡命する。翌1939年、残された絵はエッセンの街でナチスに押収された。

作品情報

寸法
93 × 74 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)822室
目録
1993.400.5

出典・画像について

画像:フィンセント・ファン・ゴッホばら》/The Metropolitan Museum of Art, New York
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-09-03 確認)
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