何が描かれているか
横たわる王の像を載せた墓の向こうから、赤い衣のランスロットが身を乗り出す。右でひざまずくグィネヴィアは黒い衣をまとい、顔の前に手を上げる。二人の間に置かれた墓と王の像が、近づく動きに割って入るように見える。
アーサー王物語に基づく場面だが、原典の出来事をそのまま同じ場所に写したものではない。大学の研究資料は、王の墓と修道院での再会を画家が組み合わせたと説明する。
作品の見どころ
墓を越える斜めの身体と、グィネヴィアの上げた手を見比べたい。接近と拒みが、言葉を使わずに向きの違いで示される。王の像は水平に伸び、その静けさが動く人物との対照になる。
背景には木の葉が密に重なり、墓の側面にも小さな装飾がある。奥へ広く抜ける風景より、二人を近い距離に閉じ込めるような空間に目が向く。赤と黒の衣の差も場面を読み取る手がかりになる。
制作背景
掲載するのは大英博物館の原作で、1860年の別版とは区別する。研究目録は1855年制作とするが、画中には1854年の銘が見える。
研究資料は書簡の作業記録と銘の年代が食い違う点を指摘する。ここでは片方を消さず、目録の1855年と画中の1854年を併記している。