何が描かれているか
石壁の前で赤毛の女性が身を低くし、白い上着の男性がその両手を取っている。右には荷車が止まり、子牛が網に包まれている。奥には橋と街並みが見え、花模様の服や敷石まで細かく描かれた手前に比べ、遠景は描きかけの部分が残る。
館の解説では、故郷を離れて都会で性労働に従事する女性を、牛を売りに来た幼なじみが見つける場面である。女性が顔をそむける理由は、恥とも抵抗とも読めるとしており、心情を一つに決めていない。
作品の見どころ
まず、男性が取る手と女性の曲がった身体を追いたい。立つ人と座り込む人の高さの差が、二人の出会いをぎこちなく見せる。男性が女性を見下ろす姿も、二人の間の緊張を感じさせる。
白い上着、紫の布、壁の灰色が並び、赤毛と花模様が目を引く。網の線と女性の服の模様も見比べると、画面の細部へ視線が戻ってくる。
制作背景
デラウェア美術館は1853年の構想、1859年の着手と記し、未完成の油彩として所蔵する。制作年を一つにまとめると、長く続いた作業の経過が見えなくなる。
騎士や詩の人物を描く水彩と並べると、同時代の街を主題にしたこの作品の違いが分かる。結末を想像で補わず、描かれた再会の瞬間を眺めたい。