何が描かれているか
白い衣の女性が鏡を見ながら長い金髪をとかし、周囲には白い薔薇が咲く。
人物は室内にいるが、背後の鏡には森のような緑が映り、空間を曖昧にする。女性は腰から上を大きく描かれ、片手に櫛、もう一方に鏡を持つ。長い髪が腕と衣服の上へ広がり、背後の鏡には室内ではなく緑の景色が映っている。
作品の見どころ
髪が画面の大部分を占め、美しさを飾りではなく人を引きつける力として見せる。
鏡へ向く本人と、こちらから彼女を見る鑑賞者の視線がすれ違う。白い衣と花は明るいが、髪の金色と背景の緑が画面の面積を大きく占める。鏡の円、首飾り、花の曲線が重なり、髪をとかすゆっくりした動作へ視線を集める。
制作背景
1866〜1868年に制作され、1872〜1873年に顔が描き直された。初期のモデルはファニー・コーンフォース、現画面はアレクサ・ワイルディング。
題名はユダヤ伝承のリリスにちなみ、ロセッティは自作詩でも誘惑的で危険な女性として扱った。顔の描き直しは所蔵館記録で確認できるため、初期モデルと現画面のモデルを混同しない。題名のリリスも実在人物の名前ではなく、神話的な女性像を重ねるための手掛かりである。