何が描かれているか
暗い廊下で女性が割れたザクロを持ち、細い光が背後の壁へ差す。
巻きつく蔦、香炉、青緑の衣、黒い髪が縦長の画面を満たす。女性は割れたザクロを胸元へ持ち上げ、横向きの顔を細い光の方へ向ける。背後の蔦は壁を上下に走り、香炉から上がる煙が暗い空間に淡い曲線を作る。
作品の見どころ
手元のザクロと口元の近さが、一粒を食べたことで運命が変わる神話の瞬間を示す。
冷たい光と暗い室内の対比が、地上と冥界の間にいる感覚を作る。青緑の衣と黒い髪は大きな縦の流れとなり、肌とザクロだけに暖かな色が集まる。壁の明るい長方形は外へ通じる窓ではなくても、閉じた空間に別の場所を意識させる。手首の近くには蔦の葉も見える。
制作背景
1874年作。ローマ神話で冥界に留められ、一年の一部だけ地上へ戻るプロセルピナを描く。
モデルはジェーン・モリス。この主題には複数のヴァージョンがあり、テート所蔵作はその一つである。複数のヴァージョンでは制作年や所蔵先、細部が異なるため、一枚の情報をすべてへ当てはめない。ここでは1874年のテート所蔵作を扱い、神話とモデルの私生活を同一視しない。