何が描かれているか
密林の中央でライオンが羚羊へ噛みつく。上空や枝には鳥が集まり、奥には別の動物の目や身体が見える。
捕食の瞬間を描くが、植物は舞台の幕のように左右から整然と重なる。ライオンと獲物の身体は葉の間に半ば隠れ、最初に植物を見てから中央の捕食へ気づく構成になっている。
作品の見どころ
一枚ずつ形の違う葉、赤や黄の花、動物の毛を順に見る。写実的な奥行きより表面の密度が強い。
中央の激しい動作に対し、周囲の鳥や植物は止まった記号のように並ぶ。葉の緑に赤、橙、白の花を散らし、暗い動物の身体が埋もれないよう小さな色の目印を置く。遠近法で奥へ抜ける道を作らず、葉を重ねることで密林の深さを表している。
制作背景
1905年の秋季サロンに出品され、同じ展示室にマティスらの強い色彩の作品が並んだ。
現在はバイエラー財団所蔵。ルソーの密林は実地旅行ではなく、植物園、動物園、印刷物と想像の組み合わせである。同時代の強い色彩の作品と同じ展示にあった事実は、ルソーをその後の画家たちと結ぶ背景として押さえたい。