何が描かれているか
黒い服と帽子を身につけたルソーが、筆と絵具を載せるパレットを手に持ち、正面に立つ。背後には水辺と橋、旗を掲げた船があり、遠くに街の建物が続く。
人物の両足は画面の下端に近く、帽子は空へ突き出している。建物や船は小さく描かれ、画家の身体が風景の前に大きく置かれていることが分かる。
作品の見どころ
顔だけでなく、手に持つ道具にも目を向けたい。筆とパレットは、ここにいる人物が絵を描く人だと伝える。街の眺めを背景に、自分の仕事まで紹介する自画像である。
黒い服の大きな面と、背後の旗や建物の細かな形を見比べてみたい。人物と風景で細かさが違い、細部を追ってから顔へ戻ると、中央の姿がいっそう目につく。
制作背景
公式展覧会目録は1890年の油彩画として記録する。ルソーは1844年生まれなので、40代半ばの自画像にあたる。若い頃の姿でも、晩年の密林画の一場面でもない。
プラハ国立美術館の所蔵作品で、題名は肖像と風景を結びつけている。本人の姿を大きく見せる一方、背後の街にも多くの形を入れた点に注目すると、人物画の中で風景が果たす役割を見られる。