逆光で黒く見える笛吹きと蛇を、青緑の月夜へ浮かべる。細部を一つずつ描きながら、現実にはない密林を作る。
何が描かれているか
月の出た水辺で、笛を吹く人物が逆光の黒い影になる。木々や足元から細長い蛇が集まり、鳥の目が光る。
人物の細部を暗く隠すことで、人と植物と動物の境界が曖昧になる。人物の黒い輪郭は木の幹と重なり、笛を持つ腕や顔の向きを探して初めて人の姿がはっきりする。遠い水面と空は細い帯に抑えられ、人物と植物が夜の前景をほとんど埋め尽くしている。
作品の見どころ
青緑の夜へ、月、目、花の小さな明るさを置く。昼の密林画とは違う静かな色を比べたい。
蛇の曲線、笛、人物の腕、枝が呼び合い、音が画面へ広がるように見える。月の円と光る目を起点に蛇の曲線をたどると、暗い画面の中へ音に応じる動きが広がっていく。
制作背景
1907年作。画家ロベール・ドローネーの母ベルト・ドローネーの注文で制作された。
現在はオルセー美術館所蔵。題材は異国趣味を含むため、実在文化の正確な記録とは扱わない。異国風の人物や密林は画家が構成した像であり、特定地域の衣服や儀礼を正確に写した資料とはしない。
出典・画像について
画像:Henri Rousseau《蛇使いの女》/蛇使いの女 — Henri Rousseau, known as le Douanier (1844 - 1910) – Painter (French) Details on Google Art Project / Wikimedia Commons
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