何が描かれているか
激しい雨と稲妻の中、虎が密生する葉から姿を現す。背を丸め、歯を見せ、前脚を踏み出す。
虎が雷に驚いたのか、見えない獲物へ近づくのかは確定しない。題名もその曖昧さを残す。虎の身体は横向きだが顔はこちらへ向き、見えない相手と鑑賞者の両方を警戒するような姿勢になる。稲妻は右上で枝分かれし、地面のない密林に天候と空の位置を示す唯一の手掛かりになる。
作品の見どころ
斜めの白い雨と、横へ重なる葉を見比べる。異なる方向の線が画面全体を揺らす。
葉を一枚ずつ輪郭で分け、奥行きより密度を作る。虎の縞も植物の模様へ溶け込む。白い雨線の隙間から橙色の毛と目が現れ、緑の葉が多い画面の中で虎の位置をはっきり示す。
制作背景
1891年のアンデパンダン展に出品。ルソーが約20点描いた密林画の最初とされる。
現在はロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵。ルソーは熱帯を訪れず、パリの植物園や印刷物などをもとに想像した。熱帯旅行の体験を描いたという伝説に寄せず、パリでの観察と印刷物、想像から作った密林として見る。