何が描かれているか
白い衣の女性が武器と松明を持ち、黒い馬で荒れた大地を駆ける。地面には倒れた人々が重なり、黒い鳥が集まる。
特定の戦争の一場面ではなく、戦争そのものを一人の姿へ置き換えた寓意画である。馬の四本の脚は走る自然な動きより記号のように伸び、上の人物と一体になって画面を横切る。人物の白い衣は旗のように広がり、黒い馬と赤い空の間で強い目印になる。
作品の見どころ
馬と人物を中央へ大きく置き、枯れ木の枝と倒れた身体を左右へ広げる。遠近法より横方向の反復が強い。
黒、赤、褐色を中心にし、松明と白い衣だけを明るくして不吉さを強める。倒れた人々の肌と暗い鳥をたどると、中央の騎馬像だけでなく、戦争が残す被害へ視線が移る。
制作背景
1894年頃の作品。《戦争》または《不和の騎行》と呼ばれる。普仏戦争後の記憶を含む可能性はあるが、一つの事件へ限定しない。
現在はオルセー美術館所蔵。館の記録では制作年を1894年頃とする。普仏戦争との関係は可能性にとどめ、特定事件の再現ではなく、戦争と不和を表す寓意として読む。