1630年頃
53歳頃

アンリ4世の凱旋(油彩ゆさい習作しゅうさく)

画家 ルーベンス →
The Triumph of Henry IV / メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
細部の仕上げより、人物のかたまりと動きの流れから油彩習作を眺めてみましょう。

何が描かれているか

フランス王アンリ4世が、戦車に乗って人々の集まる場所へ進んでいます。周囲には馬、兵士、空中を飛ぶ人物が重なり、上には建築が見えます。王の入城を、古代ローマの凱旋のように見せる場面です。
茶色や金色が広がり、赤や青の小さな色が人物の位置を示しています。輪郭りんかくが細部まで閉じていない場所もあります。完成した大画面とは違う、構成を考えるための油彩習作です。

作品の見どころ

見どころは、たくさんの人物を一つの流れにまとめる手早い筆づかいです。足元の人物、馬の背、王の座る位置へと目を移すと、画面の中を上昇する動きが見えてきます。
顔の似方や服の細かな模様より、人のかたまりの配置を見てみてください。建築の硬い形と、入り組んだ身体の曲線が対照をなしています。

制作背景

王妃マリー・ド・メディシスは、自分と夫の生涯を飾る絵画群をルーベンスに注文しました。この習作はアンリ4世の連作れんさくのためのものです。同じ構想を練った四点の習作のうち最後のものと、所蔵館は説明しています。
夫の連作は十分に完成しないまま、1631年に王妃がフランスから追放されました。歴史の出来事をそのまま写す絵というより、王を称える物語へ組み立てる制作過程を見られる一枚です。

作品情報

材質・技法
板に油彩
所蔵
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
目録番号
42.187
位置づけ
王の歴史を寓意に変える油彩習作

出典・画像について

出典:Met:The Triumph of Henry IV(2026-10-09 確認)
画像:Peter Paul Rubens《アンリ4世の凱旋(油彩習作)》/アンリ4世の凱旋(油彩習作) — Peter Paul Rubens / The Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-09 確認)
The Metropolitan Museum of Artの公式CC0画像。
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