何が描かれているか
高い丘の上に石造りの城が立ち、斜面を木々が覆う。手前にいる人々はとても小さく、建物までの距離と丘の高さが強調される。城は地平線から突然現れるのではなく、暗い樹木の層を上へ追った先で見えてくる。実在の場所を題材にしながら、自然と建築を大きな一つの形にまとめた画面だ。
作品の見どころ
雲の明るい部分は城の上へ集まり、斜面の木々には濃い影が残る。下から見上げる視点のため、見る人は丘を登る小さな人物に近い位置に置かれる。城の塔、木の枝、斜面の線が上へ伸び、画面全体に登っていく動きを作る。城の形だけを記録した絵というより、その場所に近づくときの規模を感じさせる。
制作背景
アイルランド国立美術館は1653年の油彩画、所蔵番号NGI.4531と記録する。同館によれば、画家は1650年頃に城のあるドイツ国境近くへ行き、現地で素描を残した。その後、同じ城を複数の絵で描いている。ここで示すのはダブリン所蔵の作品であり、アムステルダムなどに残る同題の別作ではない。画像と所蔵先を合わせて見る必要がある。