何が描かれているか
岩と草に囲まれた青緑色の水が、画面いっぱいに広がっています。空や遠い山頂は見えず、見る側は水際に立って下をのぞき込むような位置に置かれます。明るい草と青みのある岩が、暗い水面の縁を区切っています。
一九〇七年の油彩です。サージェントは北イタリアの小集落(ピュルテュ)に滞在し、近くの沢を油彩と水彩で繰り返し描きました。
作品の見どころ
左下の浅い部分から、中央の暗い水へ目を移してください。手前には水底の石が透けるように見え、中央では岸辺の影や光が水面に重なります。
水を青だけで塗っているわけではありません。緑、黄、茶色、紫が入り、石と水の境目も所々で曖昧になります。何が映り込みで、何が水底の形なのかを探すことが、この絵の見どころです。
制作背景
岩には角ばった筆跡が、草には細く立ち上がる跡が見えます。それに対して水面の色は横へ伸び、同じ絵の具でも、物の形に合わせて筆の方向が変わっています。
水彩の《山の小川》と比べると、濃い絵の具の重なりと、紙に広がる淡い色の違いが分かります。まず水の青を追い、次に草の黄や岩の灰色へ戻ると、狭い眺めの中の色の豊かさに気づきます。