何が描かれているか
黒いサテンのドレスを着たヴィルジニー・ゴートローが、体を正面へ向けながら顔を横へそらして立つ。
右手は小卓に置かれ、暗い背景の中で白い肌、黒い服、金色の金具が強く対照する。身体は正面に近い一方、顔は画面左へ向き、視線も鑑賞者から外れる。顔、肩、腕の向きが少しずつ違うため、静止した全身像にもねじれるような緊張が生まれている。
作品の見どころ
横顔と体の向きをずらすことで、近くにいるのに簡単には近づけない緊張を作る。
黒いドレスを一枚の平らな色にせず、青や茶を含む反射で立体的に見せている。肌の淡い色は背景から鋭く浮かぶが、ドレスの黒には青や褐色の反射が含まれる。肩から腰へ続く輪郭と小卓へ伸ばした腕を追うと、縦長の画面に大きな斜線が見える。
制作背景
1883〜1884年作。サージェントは評判を高めることを望み、注文を受けずにゴートローへ制作を持ちかけた。
1884年のサロン出品時には右肩のひもが落ちていたため強い批判を受けた。後に肩ひもを描き直し、1916年まで作品を手元に置いた。サロン出品時の批判を、作品そのものの価値が否定された出来事と単純化しない。現在見える肩ひもは描き直し後の状態であり、1884年の展示時とは細部が異なる。