赤紫のドレスが床まで流れ、片腕がソファへ伸びる。衣服と姿勢を一緒に見ると、肖像画の動きが分かります。
何が描かれているか
赤紫色のドレスを着た女性が、ソファに浅く腰掛けています。片腕を背もたれへ長く伸ばし、顔は見る側へ向けています。肩や袖、裾には明るい飾りがあり、茶色の室内の中で華やかな衣服が目立ちます。
モデルはロンドンの銀行家の妻で、社交の場を主催した女性です。一八九二年に描かれ、翌年にロンドンで展示されました。
作品の見どころ
顔から胸元、膝、床に広がる裾へと目を下ろしてみましょう。ドレスの赤紫の面には白や薄紫の筆跡が走り、布の折れ目や光を受ける部分を示しています。
次に、背もたれへ伸ばした腕を追うと、縦長の画面に横への動きが加わります。もう一方の手、座面の縁、家具の金色の脚も、姿勢を支える形として見えてきます。
制作背景
顔の目鼻と、背後の布の大きな筆跡を比べてください。顔をよく見せる部分と、家具や布の広がりを伝える部分で、描き込みの密度に違いがあります。
《マダムX》と並べると、同じ縦長の女性像でも、黒い服で立つ姿と赤紫の服で腰掛ける姿は印象が大きく異なります。表情だけでなく、衣服の色や腕の方向も肖像の雰囲気を作っています。
出典・画像について
画像:John Singer Sargent《ヒュー・ハマーズリー夫人》/The Metropolitan Museum of Art, New York
採用画像は美術館がCC0で提供し、Wikimedia Commonsに保存された版です。現在の館ページの画像とは公開条件の表示が異なります。
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