何が描かれているか
黒いショールを体に寄せた女性が、狭い路地をこちらへ歩いてきます。右には黒い服と帽子の男性が二人立ち、さらに奥には小さな人影があります。建物の壁が画面の両側を埋め、人々の動く場所を細く区切っています。
一八八二年の作品で、カンヴァスではなく板に油彩で描かれています。大きな運河や宮殿ではなく、街の路地にいる人々が主役です。
作品の見どころ
女性の黒い衣服から、下にのぞく明るいスカートへ目を移してみてください。首元の赤い色も、壁の灰色や薄茶色の中で小さく目立ちます。
道と建物の線は奥へ延びますが、手前の女性が目を引き止めます。右の二人の顔の向きまで見ると、路地にいる人々の位置関係をたどれます。絵からは、彼らの会話の内容や互いの関係までは分かりません。
制作背景
壁を近くで見ると、絵の具の短い跡が重なり、表面のざらつきに見えてきます。服の輪郭もすべてが細い線で閉じられているわけではありません。
少し離れて、女性の白い裾と奥の明るい壁を続けて見ると、光の弱い路地にも明暗の変化があると気づきます。水彩の《ヴェネツィア》と比べれば、同じ街の狭い空間に人物を置く工夫が見えます。