子どもを抱き、授乳し、そばで眠らせる。一人の女性の姿を通して、他者を養い守る「慈愛」が表されています。
何が描かれているか
赤い衣の女性へ二人の子どもが寄り添い、もう一人は手前で身体を横たえています。足元には果実や器があり、背後には明るい空と遠い景色が広がります。聖母子を思わせる姿ですが、題名はキリスト教の徳の一つである「慈愛」です。
作品の見どころ
胸へ顔を寄せる子、そばへ近づく子、下で休む子。女性のまわりにいる子どもたちは、身体の向きも過ごし方も違い、一人ずつの存在を感じさせます。大きく折れ重なる青い布は、その身体の重さを支えるように広がっています。人物が寄り添う親密さと、絵の下半分のゆったりした広がりが重なります。
制作背景
ルーヴル美術館の目録では1518〜1519年、フランス滞在中にフランソワ1世のために描かれた作品とされています。フィレンツェの聖堂を主な仕事場としていた画家が、フランス王のもとでも働いた時期の一作です。祭壇画で培った大きな人物の配置が、ここでは母と子どもによる寓意の姿へと使われています。
出典・画像について
画像:Andrea del Sarto《慈愛》/慈愛 — Andrea del Sarto / Andrea del Sarto / Public Domain Mark 1.0
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