洗礼者ヨハネの頭部の習作
画家 アンドレア・デル・サルト →Head of Saint John the Baptist / ナショナル・ギャラリー、ワシントン
細い髪の線と、頬を包む広い影。同じ黒いチョークでも、触れ方を変えると、肌と髪がまるで違う質感になります。
何が描かれているか
少年の顔と肩が、褐色の紙へ黒いチョークで描かれています。顔は少し横へ向き、巻き毛の輪郭は細い線で繰り返し探られています。一方、目のまわりや頬、首の陰には幅のある暗い部分が置かれ、紙の明るさが額や鼻を浮かび上がらせます。
作品の見どころ
髪には、形を探るように重ねた線が残っています。それでも顔がぼやけないのは、目、鼻、口の位置と、大きな影のまとまりが確かだからでしょう。紙の色を肌の明るい部分として眺めると、白い絵具を塗らなくても顔に光を感じられます。描いた影と紙の明るさが、一つの顔を浮かび上がらせています。
制作背景
ワシントンのナショナル・ギャラリーが所蔵する、1523年頃の素描です。同じ頃の《洗礼者ヨハネ》の絵と見比べると、若者の顔を注意深く観察することが、聖人像の自然さと近いところにあると感じられます。油彩の完成作だけでなく、こうした紙の仕事を見ると、デル・サルトが陰影をどう組み立てるかが、より直接に伝わってきます。
出典・画像について
画像:Andrea del Sarto《洗礼者ヨハネの頭部の習作》/洗礼者ヨハネの頭部の習作 — Andrea del Sarto / Andrea del Sarto / CC0 1.0
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