暗がりから浮かぶ若い顔と、鮮やかな赤い布。生身の青年らしさを保ちながら、こちらへ語りかける聖人像になっています。
何が描かれているか
巻き毛の若いヨハネが、暗い背景の前で胸元を見せています。身体には赤い布がかかり、そばには葦の十字架、巻物、素焼きの鉢が置かれています。これらは、キリストに洗礼を授け、その到来を伝える聖人を示す持ち物です。
作品の見どころ
明るい顔の輪郭は、暗い背景から一様にくっきり切り離されてはいません。肩の丸みには柔らかな影がかかり、胸や布の折れ目には深い暗さが残ります。そのあいだを結ぶ赤い布が、淡い肌と背景の奥行きを引き立てています。堂々とした身体に目を留めたあとで顔に戻ると、そこに残る若さが印象的です。
制作背景
1523年頃の作品で、ウフィツィ美術館はフィレンツェの銀行家ジョヴァンニ・ベニンテンディの依頼と結びつけています。洗礼者ヨハネはこの街の守護聖人でもありました。ゲティ美術館の調査紹介によれば、X線写真からは、下に別の使徒像が塗りつぶされていることもわかります。今の落ち着いた姿にも、それ以前の制作の層が隠れています。
作品情報
目録番号
Palatina 1912 no. 272
出典・画像について
画像:Andrea del Sarto《洗礼者ヨハネ》/洗礼者ヨハネ — Andrea del Sarto / Andrea del Sarto / Public Domain Mark 1.0
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