題名の「袋」は、左のヨセフが寄りかかる荷物。旅の小さな持ち物が、広い半円形の壁画を親しみやすい場面にしています。
何が描かれているか
左のヨセフは袋にもたれて本を読み、右ではマリアが幼子を抱いて座っています。背景は広く簡素で、人物たちの大きな衣が、左右にゆったりと広がっています。半円形の壁の中へ描かれた、旅の途中に休む聖家族の姿です。
作品の見どころ
三人のあいだには余裕があり、ヨセフは本に目を落とし、マリアはこちらを向いています。同じ場所で、それぞれ違う時間を過ごしているようです。大きな布の折れ目に沿って横へ目を向けると、その広がりを壁の穏やかな曲線が包んでいます。半円形に収めながらも、窮屈さを感じさせない配置です。
制作背景
1525年、サンティッシマ・アンヌンツィアータの大回廊に描かれた壁画です。文化財目録は、準備の素描がロンドンとパリに残り、後世の模写も複数伝わると記しています。単純に見える人物の集まりも、最初から一度で決まった形ではありません。画家が案を重ねて整えた姿と知ると、静かな場面をもう少し長く眺めたくなります。
作品情報
所蔵
サンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂、フィレンツェ
出典・画像について
画像:Andrea del Sarto《袋の聖母》/袋の聖母 — Andrea del Sarto /
Sailko / CC BY 3.0
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