何が描かれているか
白い壁と暗い茶色の屋根が、画面いっぱいに重なっている。家々を取り巻くのは、黒に近い青で塗られた川だ。空や遠くの地平線は見えず、狭い場所に建物がぎゅっと集まる。
窓は小さな暗い四角として並び、屋根と壁の境目が街の複雑な形を作る。通りを歩く人は描かれていない。上の方に見える洗濯物のような生活の跡が、かえって人の不在を感じさせる。
作品の見どころ
中央の屋根を一つ選び、その傾きに沿って周りの家へ目を移してみよう。隣り合う面は同じ方向にそろわず、細い路地や壁の隙間を挟んでつながっている。
家の白い面と川の青を見比べると、川が奥へ抜ける景色というより、家々を囲む大きな色の帯に見える。遠近の説明を抑えたことで、街全体が一つの密集した塊として迫る。
制作背景
1911年の小さな板絵。モチーフは、母の生まれた街クルマウ、現在のチェスキー・クルムロフである。美術館は、城のある高い場所からヴルタヴァ川の曲がりに沿う家々を捉えたと説明する。
館の解説では、この無人の街を孤独や隔たりの表現として読んでいる。実際に街が死んだという記録ではない。風景にも人体と同じように、色や形を通して感情を重ねた作品と見られる。