1915年
25歳頃

死と乙女

画家 エゴン・シーレ
Death and the Maiden / ベルヴェデーレ宮殿美術館
別れの抱擁を、冷たい地面と大きく広がる衣の形で逃れられない場面にした。

何が描かれているか

暗い衣の男性と女性が地面で抱き合う。男性は女性の頭を包み、女性は腕を背へ回すが、二人の顔は同じ方向を向かず、完全には一つにならない。
二人の下には白い布が不規則に広がり、その外側は荒れた褐色かっしょくの地面である。衣の大きな形は二人を守る毛布のようにも、逃げ場を閉じる重い殻のようにも見える。

作品の見どころ

女性の明るい顔から、男性の暗い顔、手、広がる衣へ視線を動かすと、抱擁の親密さと別れの距離が同時に現れる。題名が生と死の対立を明確にする。
人物を立たせず、上から見下ろすように地面へ置いたため、背景の広がりが二人の孤立を強める。複雑な遠近法えんきんほうより、布と衣の輪郭りんかくが感情の形として働く。

制作背景

1915年、シーレが長年の伴侶ヴァリーと別れ、エディット・ハルムスと結婚した時期に制作された。ベルヴェデーレは、ヴァリーとの関係に別れを告げる作品として位置づけている。
同時期には第一次世界大戦と軍務の不安もあった。個人的な別れだけで全要素を説明せず、恋愛、死、戦時下の不確かさが重なった作品として見ると、題名の広がりを保てる。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい
所蔵
ベルヴェデーレ宮殿美術館
位置づけ
別れの抱擁を、冷たい地面と大きく広がる衣の形で逃れられない場面にした。

出典・画像について

画像:Egon Schiele死と乙女》/死と乙女 — Egon Schiele / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-14 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

エゴン・シーレ まなざしの痛み
水沢 勉 著 / 東京美術
自画像、風景、人物、寓意、室内の5章で、短い生涯と表現の変化を作品からたどれる専門的な入門書です。
楽天ブックスで見る →