何が描かれているか
妻エディットが、色とりどりの縞模様のドレスで正面に立つ。赤みのある髪は高くまとめられ、白い袖と襟が顔を囲む。両手は身体の脇へ下ろされ、足先まで画面に収まっている。
家具や室内の説明はなく、明るい背景が人物を包む。ドレスには緑、橙、紫などの細い縞が続くが、顔や手は淡い色で描かれ、衣服と肌の違いが大きい。
作品の見どころ
まず胸元から裾まで縞を追ってみよう。胴の部分では縦に続く線が、腰の下で扇のように広がる。帯の横線がそれを区切り、身体の形を衣服の模様が伝えている。
静かな立ち姿でも、指先や袖の縁は細かく折れ曲がる。《ヴァリーの肖像》の近い顔の構図と比べると、ここでは全身と周囲の空間によって、見る側との距離が作られている。
制作背景
1915年、シーレがエディット・ハルムスと結婚した年の油彩画。所蔵館は、徴兵後の病気休暇中にこの全身肖像を描いたと説明している。
館の記録では、ドレスはアトリエの縞のカーテンから彼女自身が仕立てたものという。絵では縞が装飾であると同時に身体の輪郭を支える。顔の表情だけで夫婦関係を断定せず、線と姿勢から静けさを見たい。