何が描かれているか
暗い室内に、裸の男女と子どもが集まっている。男性は後ろで膝を立て、女性はその手前に座る。女性の脚の間から、青い衣を着た子どもの顔がのぞく。三人の身体は上下に重なる。
男性の顔は正面に近く、女性は視線を下げ、子どもは横へ顔を向ける。同じ場所に近く集まっていても、目が合わない。周囲の家具や布は暗い色へ沈み、肌の明るさが前へ出る。
作品の見どころ
頭から肩、膝へと輪郭を追うと、三人が大きな三角形にまとまって見える。後ろの男性の角張った身体と、前の女性の丸みが対照を作る。肌の色にも青や緑の筆跡が残る。
身体が触れ合うほど近いのに、視線はそれぞれ別へ向かう。所蔵館も、この近さと孤立の両方を読み取っている。家族という題名だけから、温かな団らんを表す絵と決めずに眺めたい。
制作背景
1918年、シーレ最後の年の油彩画。ベルヴェデーレ美術館は《うずくまる男女(家族)》の題名で所蔵し、男性にシーレ自身の顔の特徴を認めている。
同年、妊娠中の妻エディットとシーレはインフルエンザで亡くなった。ただし題名やこの出来事だけで、三人を妻と生まれるはずの子の実際の肖像と断定はできない。人物同士の距離や重なりに注目したい。