1882〜1883年
22〜24歳頃

刺繍する人(画家の母)

画家 ジョルジュ・スーラ →
Embroidery; The Artist's Mother / メトロポリタン美術館
黒い描画材の濃淡で、室内の光と母の姿を浮かび上がらせる。

何が描かれているか

暗い室内に、頭を下げて手仕事をする女性が浮かび上がる。顔や胸、腕の付近にわずかな明るさがあり、衣服と周囲の暗さは溶け合う。線で細部を説明するより、明るさの違いで姿を示している。
メトロポリタン美術館は、画家の母エルネスティーヌ・フェーヴルの肖像と説明する。コンテという黒い描画材による素描そびょうであり、油彩ゆさいの点描画や、版から紙へ刷った版画はんがではない。

作品の見どころ

人物の輪郭りんかくを一本の線として追わず、明るい部分の隣にどれほど暗い部分があるかを見たい。顔を囲む暗さや腕の薄い調子によって、身体が光を受けているように見える。
紙の表面には細かな粒が見える。館は、描画材を押す力を弱めることで、室内の乏しい光を表したと説明する。色を分ける油彩とは別に、黒の濃さを変えるだけでも豊かな空間をつくっている。

制作背景

1882〜1883年の作品で、現在はメトロポリタン美術館にある。同じ頃の《庭師》の明るい緑や青と並べると、スーラが色彩と同時に、黒と白による形の表現も探っていたことが分かる。
「点の画家」という印象だけでは、この静かな素描の仕事を見落としやすい。画家に近い人物を主題にしながら、表情の細部より光と暗さで形をつくる点も、スーラの大事な一面である。

作品情報

材質・技法
コンテ・クレヨン、紙
所蔵
メトロポリタン美術館
目録番号
55.21.1

出典・画像について

画像:Georges Seurat《刺繍する人(画家の母)》/The Metropolitan Museum of Art
画像の出典 / Public Domain / Open Access / CC0(画像情報:2026-10-04 確認)
所蔵館の個別Public Domain/Open Access表示によるCC0。制作年代・技法と原画像全体を確認。取得JPEG無変更、等比縮小のみ。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

新潮美術文庫 32 スーラ
G・スーラ 著 / 新潮社
短い生涯に残された点描の代表作を通して、色彩の科学と詩的な画面が結びつくスーラの世界をたどる小さな画集です。
楽天ブックスで見る →