何が描かれているか
髪を高く結った女性が小さな鏡を見下ろし、顔の近くへ化粧道具を持ち上げる。手前に細い脚の化粧台、左上に花瓶を描いた小さな絵があり、狭い室内に人物の身体が大きく収まる。
モデルはマドレーヌ・クノブロックであると、コートールド美術館が説明する。多くの人物を並べた公園や舞台の絵と違い、一人が自分の姿を整える、身近な場面を描いている。
作品の見どころ
腕や肩の丸み、ふくらんだスカート、細い化粧台の曲線を見比べたい。身体の大きな形と、軽い家具の小さな形の違いが、画面に独特のリズムをつくる。
壁にも肌にも細かな色点があり、点の密度や色の強さが明暗を変えている。色点は離れて見ると大きな形にまとまるが、近づくと別々の色が見える。どの距離で見やすいかを変えて楽しめる。
制作背景
現行のコートールド美術館の紹介は1888〜1890年の作品とする。油彩でカンヴァスに描かれた完成作であり、同じ主題の細長い習作とは区別している。
同館の調査では、左上の花瓶の絵の下に、もとは制作するスーラ自身の反射像が描かれていたと報告される。今の画面からその顔が見えるわけではない。見えている絵と、調査によって分かった塗り直しを分けて考えたい。