黄色い上着の男性が横顔を見せ、一本の花を指先で差し出す。
何が描かれているか
黄色い上着の男性が横顔を見せ、一本の花を指先で差し出す。背後には扇を回したような色と線が広がり、ふつうの部屋や風景は見えない。モデルのフェリックス・フェネオンは、スーラやシニャックの絵を支持した批評家である。人物の似姿に加え、色と形の実験そのものを見せる肖像になっている。
作品の見どころ
顔の輪郭、曲がる肘、細い杖の線が折れながら下へ続く。花の曲線は背景の渦と呼応し、黄色い服は周囲の青や紫から強く浮かぶ。背景に遠近法で奥へ進む空間はほとんどなく、模様のように画面を埋めている。人物から背景へ視線を移すと、顔を描くことと色の響きを作ることが、同じ画面で結び付いている。
制作背景
ニューヨーク近代美術館は1890年の油彩画、所蔵番号85.1991と記録する。長い原題には「作品217」と色調や角度への言及があり、美術館は背景を当時の色彩理論との関係から説明する。フェネオンは「新印象派」という呼び名を広めた人物でもあった。花の意味や二人の心情を断定するより、友人の姿と画家の理論への関心が重なる作品として見たい。
出典・画像について
画像:Paul Signac《フェリックス・フェネオンの肖像》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark / Wikimedia Commons PD-Art
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