何が描かれているか
中央に修道士アゴスティーノ・ノヴェッロが座り、その周囲の四つの場面に人々の危機と救済が描かれる。大きな像は誰の物語かを示し、小画面はどのような奇跡が語られたかを伝える。
四隅を一つずつ見ると、倒れる人や急ぐ人、助けを求める人の姿が分かる。中央の人物は静かなまま、周囲だけが動く。
作品の見どころ
建物の屋根や壁は、細かな都市の地図というより、場面の区切りとして役立つ。見る人は壁で分けられた空間を順に追い、事故から救済へ進む。金地の祭壇画に、時間の流れる物語を組み込んだ点が面白い。
人物の身振りには急ぐ、倒れる、抱き起こすといった違いがある。細い線でも動作が読み取れるため、画面は装飾に埋もれない。
制作背景
シモーネ・マルティーニの作品としてシエナ国立絵画館に伝わる。制作年は1325〜1330年頃とされ、細部の年代づけには幅がある。小さな複数の場面を、中央の肖像とともに読むために作られた。
《マエスタ》のような大壁画では、集団が一つの像を共有する。ここでは近くで一場面ずつ追う見方が求められる。同じ画家が場所と目的に合わせて、人物の大きさや物語の密度を変えたことが分かる。
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この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
シエナの美術とイタリア絵画の展開を詳しく扱う美術史書。二人の画家の作品を、都市や宮廷の文化との関係から読み進められます。
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