何が描かれているか
少年キリストが聖母マリアとヨセフの間に立つ。両親が捜していた子を神殿で見つけた後の場面で、三人は近くにいながら目線と手の向きが合わない。単純な再会の喜びだけではない、会話の途中が見える。
マリアの手は息子へ向かい、ヨセフは別の位置から身振りをする。キリストも身体を向け、三人の間に空気のような間隔が残る。
作品の見どころ
衣の色と折れ目はそれぞれ異なり、視線を三角形に動かす。顔を見てから手へ戻り、もう一度相手の顔へ移ると、絵の中に言葉の往復を感じられる。大きな出来事を描かず、身振りに時間を託した。
人物の頭の光輪は聖なる物語を示すが、表情と姿勢は家庭の一場面にも近い。
制作背景
作品には1342年の年記があり、シモーネ晩年の仕事として知られる。現在はリヴァプールのウォーカー・アート・ギャラリーにある。細部の解釈には幅があるため、登場人物の内心を一つに決めつけない。
大きな《マエスタ》の公的な集まりから、小さな三人だけの対話まで、シモーネは金地の使い方を変えた。この絵では背景の広さより、身振りの間に残る沈黙が見どころになる。
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
シエナの美術とイタリア絵画の展開を詳しく扱う美術史書。二人の画家の作品を、都市や宮廷の文化との関係から読み進められます。
楽天ブックスで見る →