何が描かれているか
横長の壁面を、馬に乗った武将が左へ進む。周囲には丘、城塞、陣地が点在し、人物と馬は広い土地の中に比較的小さく置かれる。戦闘の一瞬より、移動する指揮官と支配する場所の関係が中心である。
騎手と馬の衣には繰り返す紋章模様があり、遠くからも一組の姿だと分かる。背景の建物は細部が省かれるが、位置と高さの違いが地形の広がりを示す。
作品の見どころ
武将の視線と馬の歩みは左へ揃い、壁画全体へゆっくりした動きをつくる。人が群れる場面を描かず、単独の騎馬を広い景色の中へ置くことで、個人の姿と都市の軍事的な力を重ねている。
シエナの市庁舎であるパラッツォ・プッブリコにあるため、単なる人物肖像とは言い切れない。市が記憶した戦いや領土の物語を、会議の部屋の壁に示す役割を持つ。
制作背景
この作品は長くシモーネ・マルティーニの作とされてきたが、制作時期や作者の帰属には研究上の議論がある。ここでは伝統的な帰属を紹介しつつ、本人の確実な作品として断定しない。
同じ部屋の《マエスタ》と比べると、聖母を中心にした天上の宮廷と、騎馬が進む地上の領土が向かい合う。
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この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
シエナの美術とイタリア絵画の展開を詳しく扱う美術史書。二人の画家の作品を、都市や宮廷の文化との関係から読み進められます。
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