何が描かれているか
大きな天蓋の下に聖母子が座り、その周りへ聖人と天使が集まる。人物は一列に並ぶだけでなく、前後に重なり、玉座を囲む宮廷のように見える。中央の聖母はシエナの守護者として描かれた。
天蓋の布を支える細い柱や、足元へ続く人物の配置に目を向けると、金地の中にも場所の広がりがある。
作品の見どころ
色を塗った漆喰だけでなく、水晶、ガラス、羊皮紙、金属箔なども使われた。現在の画面を単なる平面の絵として見ると、この素材の変化を見落とす。光の当たり方によって、聖母を囲む豪華さが変わる。
人物の姿勢は静かでも、目線や手の向きには違いがある。聖母を見つめる者、鑑賞者へ顔を向ける者が交じり、見る人もこの集まりに迎えられる。
制作背景
シエナ市立美術館の記録によると、壁画は1315年に完成し、1321年まで手が加えられた。現在もパラッツォ・プッブリコの「世界地図の間」にあり、市政の行われた建物の中に聖母の像が置かれた。
個人が近くで拝む小さな板絵と異なり、多くの人が集まる公共の部屋に向けた作品である。宗教的な守護と都市の自画像のような意味が重なり、シエナの政治と絵画が結びつく場になった。
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この画家について本で読む
西洋美術の歴史4 ルネサンスⅠ 百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現
小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
シエナの美術とイタリア絵画の展開を詳しく扱う美術史書。二人の画家の作品を、都市や宮廷の文化との関係から読み進められます。
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