何が描かれているか
司教服をまとった聖ルイが正面の玉座に座り、足元にひざまずく弟ロベルトへ王冠を授ける。ルイ自身も頭上に天使から冠を受ける。二つの冠が上下に並び、地上の王権と天上の栄誉をつなぐ。
衣には花や紋章のような細かな模様が広がり、金地の光と重なる。大きな聖人と小さくひざまずく王の差は、単なる遠近だけではない。
作品の見どころ
ロベルトの手と視線は聖ルイへ向かい、聖ルイの手は冠を通して王へ届く。この短い線を追うと、政治的な意味をもつ場面が一目で読める。豪華な装飾の中でも、授冠の動作ははっきりしている。
下部の小画面には聖ルイの生涯に関わる場面が並ぶ。大きな中央像を信仰の対象としながら、小さな場面で人物の物語をたどれる。
制作背景
聖ルイはナポリ王位を継がず、フランシスコ会へ入った人物である。弟ロベルトの統治を正当化する図像と、聖人への礼拝が重なる。制作の背景を一つの個人的感情に還元せず、アンジュー家の政治と信仰の両面から見る。
この祭壇画はシモーネがナポリで活動した時期の代表作とされる。シエナの《マエスタ》と比べると、同じ金地と精緻な線が、公的な聖母像から王家の正統性を示す像へ使い分けられている。
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この画家について本で読む
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小佐野重利/京谷啓徳/水野千依 著 / 中央公論新社
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